9月4日のジョークを大真面目に日本語で解釈してみました。この趣旨の解釈(どのような解釈でもご自由です)を英文にしてみませんか?英会話の話題としてご利用頂けるほかフェイスブックページの英文添削コーナーで英文添削も承ります。
殺人事件の裁判は被告人側に不利な状況で進行していた。そこで策略を思いついた弁護士は陪審員に向かって叫んだ。「皆さん、殺人を犯したのは被告人ではありません。間もなくこの法廷に歩いて入って来る男こそが真の殺人者です。」
驚いた陪審員たちはみな一斉に入口のほうを見た。然し誰も入って来るものはいなかった。そこで弁護士は得たりとばかりに口を開いた。「皆さん、私が言ったことは嘘です。然し皆さんは真犯人が入ってくるのではないかと思って入口のほうを見ましたね。それは被告人の罪に関して合理的な疑いがある証拠です。よって私は被告人の無罪を主張します。」
陪審員たちは審議のため退席した。そして戻ってきて読み上げた評決は「有罪」だった。当てが外れた弁護士は大声で怒鳴った。「あなた方は被告人の罪に少しは疑いを持ったはずです。だって12人全員が入口を見たではありませんか。」すると評決を読み上げた陪審員長が答えた。「確かに私たちは見ました。然しあなたの依頼人は見ませんでした。」
この弁護士は自分を含めて誰が見ても真っ黒な依頼人である被告人を裁く陪審員にごくわずかでも疑念を持たせればなんとかなると考えたのだ。そうすればまず「疑わしきは被告人の利益に」の原則に基づいて依頼人を有罪とすることを阻止できる。そうなれば後は簡単で「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という推定無罪の原則を持ち出して熱弁をふるえばこの依頼人を無罪放免できるではないか。だが、彼の策略には詰めが足らなかった。自分が殺人を犯したことを知っている依頼人が誰も入ってくるはずのない入口を見なかったのだ。そして陪審員たちは入口を見ると同時に入口を見ない被告人もしっかり見ていたのだった。